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陸の道

誰よりも長い名前を持った
優しい 愛しい 家族を持った
生まれた場所の意味を知った
見ず知らずの命を背負った
いつか消える運命と
 
どうしてと 誰かを責めることはない
初めから名前と共に在ったから
 
きっと本当は
想像できていなかった
だから前を向いていられた
だから 何も
 
怖くない 怖くない
歩き続けよう
果てなき 結末見えない 陸の道
わたしはわたしだ
進み続けよう
いつしか泡のように消えゆくその日まで
 
誰よりも長い名を隠した
優しい 眩しい 光に出会った
空の高さに腕を広げた
負けず嫌いの自分に出会った
少しの焦燥感
 
どうしてと 誰にも言ったことのない
悲鳴が静かに頭の中で木霊する
 
きっと 初めて
想像できてしまった
指先から体温が消える
指先から色が
 
怖くない 怖くない
ただ進めばいい
怯えと諦めは 決して同じじゃない
わたしは わたしだ
叫び続けよう
立ち止まれば終わりだ
足掻け 消えるまで
 
怖くて 怖くて
泣き出しそうなの
あなたに会えない未来が
本当は怖い
 
それでもわたしを
奮い立たせるのも
優しくこの名を呼ぶ
あなたの声だった

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